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園殿の話

陸竜と海竜はつがいとして神に創られた。
海竜は園殿を囲む海を、陸竜は園殿の地を、それぞれ守っていた。
 
あるとき陸竜は、美しい生き物を目にした。
 
それは人間の女で、イヴと呼ばれていた。
アダムが神に求めた、彼の二人目の伴侶だった。
 
陸竜はイヴに恋をしてしまった。
 
正直で嘘のつけない陸竜は苦しんだ末に、海竜にそれを打ち明けた。
陸竜にはわからなかったが、海竜はそれを聞いてイヴにたいへん嫉妬してしまう。
 
海竜は陸竜に、園殿の中央にイヴを誘いなさい、と提案する。
 
園殿の中央には二本の木がある。
それは生と死を司る柱でもあり、陸竜は天界からそれを厳重に守るようにと言われていた。
陸竜はそこに住んでいた。
 
他の生き物には不可侵の領域であるため、イヴをかどわかしても誰も気付かないだろう。
 
海竜は続けた。
死の木の下なら、神もそれに気づくまい、と。
 
その底の海竜の考えは、死のないエデンの死を司る木のもとなら、
イヴも死ぬかもしれないというものだった。
 
それを知らない陸竜は、海竜の提案を受け入れた。
 
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あくま日誌

ねたたたたね

"外"の汚染された空気のせいか、ひどくむせる。
だがこみ上げてくる吐き気は、喉を締め付けるそれは汚染のためだけではなかった。
 
『"外"だろ、あいつらがいるのは』
治外法権だから、と友達は笑っていた。
 
"外"なら自分と同じような人間がいるのだろうか。
生きられているのだろうか。
 
ふらり、と迷い込むようにドームの外を出た。
 
その先にあったのは拒絶に近い現実と、足掻いても逃れる術すら―
いや、その意志さえ持っていない自分が浮き彫りになっただけだった。
 
いつでも戻れるようにデータを改竄したのも、外でやれる自信がないことを無意識に理解していたからだ。
 
『死にたいのか』
 
わざわざ防護マスクを脱ぎ、怒鳴りつけてきた男の声が耳なりのように頭に響く。
 
確かに自殺行為だった。
だけど死ぬつもりはなかった。生きたかった。
そのままではいずれ死ぬことはわかっていた。
でも生きたかった。
死んででも生き続けたかったのだ。
 
はじめて"力"で人を傷つけた。
中でのことではなかったから、知られることはないだろうが、危険な力だと思うと寒気がした。
 
狩られても仕方がないだろう。
それでも死にたくない。
 
『人はひとりだよ』
『そうかもしれない』
 
『だけどお前の中の芽が、外に出たいと言っているのが聴こえる』
 
このまま何もしないまま死ぬのは嫌だ。
 
せめて、それならばせめて
 
*
 
「協力します」
「本当かい?」
「父の死の原因を突きとめられるんですよね」
「…命の危険を伴うよ」
「どうせ死ぬなら、それ相応のことをやったほうが華々しいじゃないですか」
「華…か。やれやれ、これは責任重大だねぇ」
 
(やっぱり君に似ているね)
真っ直ぐに見つめてくる少年の眼差しに、ニノベは苦笑する。
(君への供花がこの子の命にならないように僕も全力を尽くすさ)
 
 
 
*
 
 
 
そんなにシリアスにされても困る。
思いついた場面をメモってことで。
 
主人公(えれきたん)は内向的。
決してアクティブではなく、率先して何かをやりたいとも思わないし
目立ちたいとも思わない。
いつ死ぬかわからないからって将来のことも考えてなくて進路希望は白紙。
 
でもたぶん天の邪鬼。
生きたくて仕方がないけど、種のまま腐るんじゃないかって不安が展望を塞いでる。
 



あれ?
いつのまにか私自分の部屋でうとうとしてたw
風呂はいるのにw



そのほか

サイクロ  番外 めも

 だいぶ前に書いた文章だけど。

+++
 
 
その場が一瞬にして冷めきった。
 
「―なんと…」
「おぉ…」
 
ようやく漏れ出てきた声たちは、その字数に収まるのが不思議なほど、
歓迎や喜びとは程遠い感情を含んでいた。
 
「妖魔と契りを交わすとは…」
「なんということだ」
「汚らわしい」
 
僕は思わず一歩踏み出した。
村人たちは怯えて退く。
妖魔という存在が毛嫌いされるのは慣れっこだ。馬鹿馬鹿しい。
だが、彼女までもが貶されているこの事態には怒りを感じざるをえなかった。
 
「楓」
 
彼女が腕をのばし、僕をひきとめる。
…僕は、彼女の後ろ隣に下がった。
 
「聞いてください」
 
いつものように背筋をのばし、凛とした動かぬ瞳で彼女は語りかける。
 
「この方は確かに妖魔です。しかしとても尊ぶべき高貴な方。
 社で会った方もいらっしゃるでしょう。優しく強いひとです。
 彼は私たちのために、全力を尽くして魔物と戦い、撃退してくださりました。
 私は彼に身を預け、巫女としての能力を失ったことに過ちを感じていません」
 
僕には石段に響くその声が悲痛な叫びに聴こえた。
疎まれたことのなかった娘の、いまやただの女となった彼女の。
まだ僕を庇おうとする彼女の。
 
 
「もはやその娘になにを言おうが無駄よ。 
 完全にとり憑かれておる。哀れな…」 
 
しゃらん、と杖を鳴らし言い捨てたのは、あの退魔の一族の老人だった。 
 
「妖魔よ。そなたの魂胆は筒抜けである。 
 巫女を懐柔し力を手に入れ、他の妖を倒すことで村人の心をもつかみ、 
 この土地を我が物にせんとするのであろう。なんと悪辣で卑劣な」 
 
… 人間というものは命が短いためなのか、思考が短絡的で疑り深く 
また老いても幼稚ですらある。 
僕は冷めた目で彼を見る。 
 
だが、彼女が反論した。 
 
「私は操られてなどおりません。 
 あなただって、楓に助けられたはずですわ。どうしてそんな酷いことを言うのです!」 
「春香殿、何を言おうがこやつと契った…いや、想った瞬間から 
 そなたも魔性の一塊と同類である」 
 
「魔物を排除するのが我々のつとめだー…」 
 
 
なにが起こったのか、僕にはわからなかった。 
ただ、彼女の胸で氷の花が咲き、彼女がくずおれた。 
 
頭の中には言葉さえ浮かばない。 
反射的に受け止めた彼女の胸の花は、じわじわと赤く染まっていく。 
 
どうして 
どうしてこんな 
 
 
花は彼女の心臓を破るように咲いているのがわかった。 
唇を伝う血の色と対照的に、色を失っていく肌。 
 
 
ああ、彼岸の花が。 
彼女を連れていってしまう。
 

サイクロ

あくま日誌 苺薔薇

ナンシー・ペアポワル(ナシ子)とリンゴ
 
 
リンゴは元々リバイアサンだったけど アダムとイブ関係で手足をもがれて蛇になった設定。
 
そしてナシ子は生き残り、不死身になったリバイアサン♀。
 
なぜにリバイアサン♀が出たかというと ラスボスにしようかと。
 
 
 
古事記と同じく自分なりの解釈と設定で地位や関係を決めてるので細かいつっこみは無しで^^
 
 
 
リンゴの復活後にナシ子不死身の力が切れた。
ベリアル位置の者が不死身の従者を従えて復活すると聞いて
不死身の力を手に入れるためにショートとケーキを狙う。
 
地上においてセイレーンとも呼ばれる人気歌手。海外で活躍していたが
インディーズから一躍トップに輝いたショートに歌手としての嫉妬も抱いていた。
 
さらにベリアル=サタン位置の起用により
ルシファー位置のシュクルに自分より近しかった関係なことにも嫉妬。
長きにわたり安穏としていただけに、ベリアル位置の復活によって
自分の地位が脅かされることにおびえる。
 
 
リンゴのことは双子のように好いていて、
シュクルの子供として復活したことを自分のことのように誇っているが
かつてとは性格が変わり、ショートやケーキとも仲良くする奔放な姿に苛立ちもしている。
 
 




あくま日誌

弾刀小話

「何も怖くない。安心しろ。」
震える手で体で 小さな拳銃を支える― いや、拳銃に支えられていた。
それが、氷のように崩れる。
金の髪の獣を、ショウ・ヤエガはその胸で受け止めた。
 
 
*
 
 
「調べたぞ、あの銃狂いの」
「銃狂い?」
「みんなそう呼んでる」
そう言ってカイルはソファにどっかと体を沈めた。
 
「ライニ・カナン・スティレイト、17歳。
 ワドアイド仕官学校を卒業。成績は良くないな。
 実技は飛び抜けていたようだが素行も良いとは言えない」
「問題ない。俺が使えるようにする」
「たいした自信だな、ヤエガ」
「元はいい」
「…お前の勘ってのは当たりはするが、ぞっとするな。元か。
 こいつには解せない部分があるぞ。
 10歳より前の記憶がない」
「記憶喪失か」
「火事で家が焼けたときにぶっ飛んだらしい。
 幸いかもしれんがな。
 スティレイト家ってのは落ちぶれ貴族だ。
 父親は借金を抱え放蕩を尽くし家に帰らず、母親は引きこもり。
 評判は良くない家庭だぜ。
 そして何より」
 
カイルは言葉を区切った。
 
「息子を監禁していた」
 
「監禁」
ショウは呟くように反芻するが、表情は変えない。
 
「驚きだが、火事があるまで誰も子供の存在を知らなかった。
 侍女ー 母親や使用人がほとんど焼け死んだ中、侍女がひとりだけ生き残ったんだが。
 その女だけが子供の存在を知っていた」
「その子供がライニか」
「ところがどっこいだ」
 
口の端を歪め、カイルは笑う。
 
「子供は双子だったと侍女は証言した」
「双子?」
「だが、助かった子供はひとり。遺体に子供らしき者は無し。
 そして…肝心の子供は記憶喪失」
「考えられるのは…侍女が勘違いをしていたか、双子の片割れは何らかの理由で家から消えていたか」
「家にいないから生き残った父親に聴いてもうやむやでね。
 双子のようだったが片方ずつしか見たことがないんだと。侍女もそうだった」
「…」
「そしてあいつは孤児院に入れられたのさ。名前を2つ受け取って、な」
 
兄のライニ、弟のカナン。
 
どちらだったかわからない。
どちらでもあったかもしれない。
 
「ああ、そうだ。もうひとつ」
 
煙草に火をつけ、親切な友人は続けた。
 
「発見されたとき、ライニには腹に刺し傷、肩に銃創があった。
 手には弾を使い切ったピストルを持っていて、はなさなかったそうだ」
「誰かに襲われたということか?」
「それも謎のままだ。あいつは右利きだが撃たれたのは右肩、弾丸は持っていたピストルのもの。
ナイフも現場にあったが指紋はなかった。銃もライニ以外の指紋は発見されてない」
 
どう思う?
 
そう訊かれて、しかしショウは笑みもしなければ眉をひそめもしなかった。
 
「何も。過去に何があろうと、俺が相手にするのは今いるライニだけだ」
そう、淀みもせずに言い切った。
 
「…こーゆー場所にいるからよ。色んな危ないやつと関わるが…
 俺はお前が一番怖いよ、ヤエガ。
 しかしじゃあ、何で調べろっつったよ?何が知りたかった?」
「あいつの好きなものだ」
「は?」
「ライニの好きなものが何か知りたかった」
「…」
 
呆れたように、天井とショウを交互に見やり、カイルは呟いた。
 
「銃だよ。」
 
 
*
 
 
「…何スかこれ…」
 
ライニは力なくたずねる。
ショウはいつものように答える。
 
「鍋だ。」
 
 
同じ部屋を共にする、2人がはじめてつついた料理はトカレフの煮えた豆乳鍋だった。
 
 
翌、腹痛により新入軍人一名欠席―…
 
 
 
***
 
 
セリフばっかの文章だな…
 
 
だいぶ前に描いた3P夢?オチマンガ派生設定の小話。
こいつら6年前からいるキャラなんだな…
 
別にミステリーとかシリアスな話ではなく
銃狂いのキレた後輩と 刀が恋人の不思議ちゃんな先輩が
殺したり殺されたりする軍隊の中でルームシェアするほのぼのした話。
主に4コマ。
 

そのほか