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サイクロ 双子の種族

 
ヒカリとアカリは『サイラス』という星の上の種族ではない。
別世界の生物。
 
その世界には太陽がない。
光の満ちる白の刻、闇が満たす黒の刻、その間に挟まれた灰の刻がある。
白の刻は空間に光が満ち、影がうすい。
黒の刻の闇はあらゆる色素が収束してできている。
 
白の刻に追いやられた色が、黒の刻に集まる感じ。 
灰の刻は、闇にもならないが色もなくなり世界がグレースケールになる。
 
ヒューマノイドは『羽翼族』と『鱗翼族』の二種類。
羽翼族は白の刻に活動し、鱗翼族は黒の刻に活動する。
灰の刻は、両者が活動できる『戦争の時間』でもある。
 
誰も知らないくらいに昔からふたつの種族は敵対している。
灰の刻に闘い、生き残りがおおいほど自分達の活動時間が延びる とされている。
灰の刻をすぎ、自分の活動できる刻でない場合は翼が力を失う。
敵の領土で力を失った者は、例外なく殺される。
 
 
●羽翼族(ウヨク)
 
羽翼族の皮膚は白いが、光の性質が太陽光などとは違うためにメラニンが必要ないせい。
むしろ色素の薄いほうが、光を反射して熱を逃がすことになる。
髪は色とりどりだが、黒い髪はいない。理由は上記。
ただし瞳は黒や灰、暗褐色などの暗い色。
 
翼は鳥と同じように羽毛でできており、つくりも似ている。
羽毛の隙間に魔力をためて放出する。エネルギーに持続性がある。
なのであまり羽ばたかず、飛行時は静か。
 
●鱗翼族(リンヨク)
 
皮膚の色は濃い褐色や黒、青いこともある。
黒の刻の闇は冷たくはないが、熱にはやや乏しい。
暗い色の皮膚は闇から熱とエネルギーを吸収する。瞬発性に長ける。
瞳の色は様々だが、ほとんど明るい色。
 
翼は蝙蝠のような形状だが爪はなく骨もしっかりしており、表面には薄く頑丈な鱗がある。
鱗が魔力を吸収し、反射して放出する。
飛行時は力強く羽ばたく。
 
 
●双子の違い
 
・ヒカリ
羽翼族と同じ翼を持つ。
瞳だけは鱗翼族。光に弱いのでいずれ視力が弱くなる。
 
・アカリ
鱗翼族と同じ翼。
だが肌は羽翼族。黒の刻に活動すると凍え死ぬだろう。
 
 
 
 
翼は常に背にあり、邪魔なときはたたむか術で縮めている。
そういうカタチの種族なので寝るときなどに翼を邪魔に思うことは少ない。
体をつつむようにして寝ます。二枚貝みたいかも。
 
ヒカリとアカリは故郷を離れてから
最初に世話になった魔法商にもらったアイテムで羽を完全に消している。
ヒカリの指輪とアカリのグローブについているのがそれ。
 
双子の魔法が手から放たれているように見えるのはアイテムにより
羽の機能が手の宝石に集まるためで、本来は翼から放出されるもの。
 
翼は血が通っているが指輪に封じられるのはマナの結晶に近いから。
翼の存在は生命活動の象徴に等しく、完全に失えば死ぬ。
 
 
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サイクロ

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サイクロ  番外 めも

 だいぶ前に書いた文章だけど。

+++
 
 
その場が一瞬にして冷めきった。
 
「―なんと…」
「おぉ…」
 
ようやく漏れ出てきた声たちは、その字数に収まるのが不思議なほど、
歓迎や喜びとは程遠い感情を含んでいた。
 
「妖魔と契りを交わすとは…」
「なんということだ」
「汚らわしい」
 
僕は思わず一歩踏み出した。
村人たちは怯えて退く。
妖魔という存在が毛嫌いされるのは慣れっこだ。馬鹿馬鹿しい。
だが、彼女までもが貶されているこの事態には怒りを感じざるをえなかった。
 
「楓」
 
彼女が腕をのばし、僕をひきとめる。
…僕は、彼女の後ろ隣に下がった。
 
「聞いてください」
 
いつものように背筋をのばし、凛とした動かぬ瞳で彼女は語りかける。
 
「この方は確かに妖魔です。しかしとても尊ぶべき高貴な方。
 社で会った方もいらっしゃるでしょう。優しく強いひとです。
 彼は私たちのために、全力を尽くして魔物と戦い、撃退してくださりました。
 私は彼に身を預け、巫女としての能力を失ったことに過ちを感じていません」
 
僕には石段に響くその声が悲痛な叫びに聴こえた。
疎まれたことのなかった娘の、いまやただの女となった彼女の。
まだ僕を庇おうとする彼女の。
 
 
「もはやその娘になにを言おうが無駄よ。 
 完全にとり憑かれておる。哀れな…」 
 
しゃらん、と杖を鳴らし言い捨てたのは、あの退魔の一族の老人だった。 
 
「妖魔よ。そなたの魂胆は筒抜けである。 
 巫女を懐柔し力を手に入れ、他の妖を倒すことで村人の心をもつかみ、 
 この土地を我が物にせんとするのであろう。なんと悪辣で卑劣な」 
 
… 人間というものは命が短いためなのか、思考が短絡的で疑り深く 
また老いても幼稚ですらある。 
僕は冷めた目で彼を見る。 
 
だが、彼女が反論した。 
 
「私は操られてなどおりません。 
 あなただって、楓に助けられたはずですわ。どうしてそんな酷いことを言うのです!」 
「春香殿、何を言おうがこやつと契った…いや、想った瞬間から 
 そなたも魔性の一塊と同類である」 
 
「魔物を排除するのが我々のつとめだー…」 
 
 
なにが起こったのか、僕にはわからなかった。 
ただ、彼女の胸で氷の花が咲き、彼女がくずおれた。 
 
頭の中には言葉さえ浮かばない。 
反射的に受け止めた彼女の胸の花は、じわじわと赤く染まっていく。 
 
どうして 
どうしてこんな 
 
 
花は彼女の心臓を破るように咲いているのがわかった。 
唇を伝う血の色と対照的に、色を失っていく肌。 
 
 
ああ、彼岸の花が。 
彼女を連れていってしまう。
 

サイクロ

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サイクロ

「ヒカリくん、指みせて?」
「ん?」
「指輪みたいの」
「ああ」

ヒカリは右手を差し出す。
中指には黄色い石のはめてある銀の指輪。
魔力を制御する魔法具だ。

「はずそうか?」
「あ、いいの。なくしたり壊しちゃったらいけないから」
「アカリがナックル代わりに使っても壊れない程度に頑丈だよ」

そう言ってヒカリは指輪をはずし、ヒナに渡した。

「ね、つけてみて…いいかな?」
「…いいよ」

うっすら笑むヒカリ。

「あれ?はいらない…
ヒカリくんの指ってどれだけ細いの!?
 小指すら無理なんだくど…!」
「ざーんねん」

ヒカリはヒナから指輪をとりあげ、親指にはめてみせた。

「おやゆ…!」
「僕専用に鋳造された魔法具だからね。僕しか指につけられないんだ。
僕の指ぴったりにサイズが調節されるから、小指にも親指にもはめられる」
「な、なんだ、そうなんだあ…」

自分の指が極太なのかと動揺していたヒナは胸をなでおろす。

「いつも中指につけてるよね。でもどれでも良いんだ?」
「指には意味があるからね、状況にあわせてる」
「意味?おとーさんゆび、おかーさんゆび、みたいな…かな?」

クスリと笑い、ヒカリはヒナの手をとった。

「親指は権威、権力、信念、指導力。
人差し指は導き、意志、開拓。
中指は先見の明、道しるべ。
薬指は精神、感性
小指は願いの成就、チャンス…」

ヒナの指をそれぞれ指しながら説明する。

「右手と左手にもそれぞれ意味があって、右手は権威や現実。左手は想念、信頼」
「ほぇー…」
「この指輪を媒介に魔法を使う上では意外と重要なんだ。
右手の中指は直感や行動を助けたり、霊感を強めて邪気を払うっていわれてる。
実際、中指からの光の矢は闇属性に効果があるし、命中率も高い」

ヒナは自分の両手の平をじっと見ながらうなずく。

「そうなんだ~。じゃあエンゲージリングにもそういう意味が関係してるのかな?」
「左手の薬指は絆を深める、愛の証、恋の成就…だったかな」
「そっか、ちゃんと意味があるんだ!うー、素敵だな~」
「君もそういうの憧れるんだ」
「ん、実は恋愛とかよくわかんないんだけどさ… でも、そういうの、好きだよ」
「そう。じゃ、これは僕から」

ヒカリは再びヒナの手をとる。
左手を。

「どうぞ、お嬢さん」
「…!」

指にちいさな輪をくぐらせ、軽く口付けた。

小指に、小さな花でつくった指輪。

「君の願いが叶いますように」
「あ、ありがとう…」

微笑むヒカリ。ヒナは思わず赤面する。

「薬指じゃなくて残念だったかな?」
「や、ちがっ…ええ!?」
「あはは。冗談だよ」
「も…ヒカリくんっ!」

ふくれてみせるヒナ。

「もー、おまじないに効力があるんなら、冗談で左手の薬指に指輪しちゃだめだよっ」
「はは。ま、それは大丈夫だね。冗談じゃなくてもつける予定ないし」
「え?」

「大事な人がいるから、ここには何もつけられない」

口はうっすら笑んでいるが、目は笑ってなかった。

「大事な…?」
「…誰だと思う?」

と、ヒカリは目をひからせた。

「誰だと思う…?」
「え…」

「教えないけど、ね」

ぽん、とヒナの頭を軽くたたいてヒカリはその場を離れた。


イタズラを思いついたような瞳。
同じ顔でも、アカリのしない顔。
青い瞳。


小指の花。





サイクロ

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パラレルサイクロ

「ふぅ、こんなものですか…」

片付けたばかりの部屋を見渡し、ひといきつく青年。

紅色の濃い茶髪に赤い瞳。端正な顔立ち。
すらりとした長身に、しっかりとした軸を感じる姿勢。

ゆったりと着こなした和装がよく似合う。
容姿端麗。美青年。

「ー…で済めば、いい人なんだけどなぁ」
「なんですか、銀杏(ギンナ)…」

青年は弟を振り返る。
銀杏は金髪の頭を気だるげにかきながら肩をすくめた。

「顔が良くてもさ、楓兄さん。
仕事もダラダラとしかやらないうえに女たらしと来ちゃ、性格良しとは言えないよ」
「作品は無理に搾ると蜜も枯れてしまいます。幹から滲むのを待って抽出するのが一番ですよ。
それに女たらしとは、人聞きが悪いですね。
美しいものは愛でるべきですし、いただけるものは拒まないだけです」
「兄さん…だからそれが悪いんだって…」
「そうですか?僕にはわかりませんねぇ」

首をかしげて微笑む楓。
逆に銀杏はがっくりと肩をおとした。

「心配だ…」
「生活なら全く困ってませんよ。2、3人同居人が増えたところで差し支えありません」
「その、これから来るっていう同居人が心配なんだよ」
「どうしてです?」

きょとんとした表情の楓。
年齢のわりにまるで無垢な振る舞いだ。

「いたいけな13歳の双子の兄弟だそうじゃない。
兄さんの悪い影響を受けなきゃいいけど…」
「そんなに信用できなんですか、僕が…」
「そりゃあそうさ」

ぐっと身をのりだし、銀杏はまくしたてた。

「秋葉家の跡取りの役目を弟に押し付け家を出て、現在は若き天才小説家として悠々自適に生活中。
責任という責任をすっぽかしながら世の中の荒波も知らずに生きてきたあなたが子供を預かるなんて…
寧ろどうやって小説書いてるのかわからないくらいだよ。そこのあたりは本当に天才」

まったく誉めてない。

「僕はちゃんと知ることは知ってますし、一通りのことは体験してますよ。
それに子供を預かるのはいい経験になります」
「はあ…」

笑顔を崩さず、始終穏やかな兄を見て、秋葉銀杏は再び呟いた。



「心配だ…」




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サイクロ

ヒナは意外とアクティブなキャラです。
考えるより先に行動しちゃう子です。

ネーム書いてます。


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