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« あくま日誌 苺薔薇 | そうさくめも »

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弾刀小話

「何も怖くない。安心しろ。」
震える手で体で 小さな拳銃を支える― いや、拳銃に支えられていた。
それが、氷のように崩れる。
金の髪の獣を、ショウ・ヤエガはその胸で受け止めた。
 
 
*
 
 
「調べたぞ、あの銃狂いの」
「銃狂い?」
「みんなそう呼んでる」
そう言ってカイルはソファにどっかと体を沈めた。
 
「ライニ・カナン・スティレイト、17歳。
 ワドアイド仕官学校を卒業。成績は良くないな。
 実技は飛び抜けていたようだが素行も良いとは言えない」
「問題ない。俺が使えるようにする」
「たいした自信だな、ヤエガ」
「元はいい」
「…お前の勘ってのは当たりはするが、ぞっとするな。元か。
 こいつには解せない部分があるぞ。
 10歳より前の記憶がない」
「記憶喪失か」
「火事で家が焼けたときにぶっ飛んだらしい。
 幸いかもしれんがな。
 スティレイト家ってのは落ちぶれ貴族だ。
 父親は借金を抱え放蕩を尽くし家に帰らず、母親は引きこもり。
 評判は良くない家庭だぜ。
 そして何より」
 
カイルは言葉を区切った。
 
「息子を監禁していた」
 
「監禁」
ショウは呟くように反芻するが、表情は変えない。
 
「驚きだが、火事があるまで誰も子供の存在を知らなかった。
 侍女ー 母親や使用人がほとんど焼け死んだ中、侍女がひとりだけ生き残ったんだが。
 その女だけが子供の存在を知っていた」
「その子供がライニか」
「ところがどっこいだ」
 
口の端を歪め、カイルは笑う。
 
「子供は双子だったと侍女は証言した」
「双子?」
「だが、助かった子供はひとり。遺体に子供らしき者は無し。
 そして…肝心の子供は記憶喪失」
「考えられるのは…侍女が勘違いをしていたか、双子の片割れは何らかの理由で家から消えていたか」
「家にいないから生き残った父親に聴いてもうやむやでね。
 双子のようだったが片方ずつしか見たことがないんだと。侍女もそうだった」
「…」
「そしてあいつは孤児院に入れられたのさ。名前を2つ受け取って、な」
 
兄のライニ、弟のカナン。
 
どちらだったかわからない。
どちらでもあったかもしれない。
 
「ああ、そうだ。もうひとつ」
 
煙草に火をつけ、親切な友人は続けた。
 
「発見されたとき、ライニには腹に刺し傷、肩に銃創があった。
 手には弾を使い切ったピストルを持っていて、はなさなかったそうだ」
「誰かに襲われたということか?」
「それも謎のままだ。あいつは右利きだが撃たれたのは右肩、弾丸は持っていたピストルのもの。
ナイフも現場にあったが指紋はなかった。銃もライニ以外の指紋は発見されてない」
 
どう思う?
 
そう訊かれて、しかしショウは笑みもしなければ眉をひそめもしなかった。
 
「何も。過去に何があろうと、俺が相手にするのは今いるライニだけだ」
そう、淀みもせずに言い切った。
 
「…こーゆー場所にいるからよ。色んな危ないやつと関わるが…
 俺はお前が一番怖いよ、ヤエガ。
 しかしじゃあ、何で調べろっつったよ?何が知りたかった?」
「あいつの好きなものだ」
「は?」
「ライニの好きなものが何か知りたかった」
「…」
 
呆れたように、天井とショウを交互に見やり、カイルは呟いた。
 
「銃だよ。」
 
 
*
 
 
「…何スかこれ…」
 
ライニは力なくたずねる。
ショウはいつものように答える。
 
「鍋だ。」
 
 
同じ部屋を共にする、2人がはじめてつついた料理はトカレフの煮えた豆乳鍋だった。
 
 
翌、腹痛により新入軍人一名欠席―…
 
 
 
***
 
 
セリフばっかの文章だな…
 
 
だいぶ前に描いた3P夢?オチマンガ派生設定の小話。
こいつら6年前からいるキャラなんだな…
 
別にミステリーとかシリアスな話ではなく
銃狂いのキレた後輩と 刀が恋人の不思議ちゃんな先輩が
殺したり殺されたりする軍隊の中でルームシェアするほのぼのした話。
主に4コマ。
 

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